バルセロナvsアトレティコの総評 ~久々に見た「バルサらしい」負け~
スーペルコパ準決勝、FCバルセロナVSアトレティコマドリードが行われた。
今まで、スーペルコパは夏のシーズン開幕前に、リーグ王者と国王杯王者がhome&awayで行っていたが、今年からサウジアラビアで4チームが争うトーナメント戦となった。
前日にレアルマドリードが勝ち、今日バルサが勝つことが出来れば決勝はクラシコ。多くの人が望むマッチだったに違いない。
シーズン前半戦のクラシコはホームだったのにもかかわらず、内容もひどく、ドローという結果に終わってしまったので、まずアトレティコマドリードに勝って、レアルマドリードと戦うつもりだった。
だが、蓋を開けてみれば2-3の逆転負け。審判の判定に泣かされたのはあるが、とても悔しい結果になった。
しかしこの試合で、問題点も浮き彫りになった一方で、「バルサらしい」負け方をしたと思っている。これは、久々だ。もう何年も見ていない気がする。
今回は、この試合であがった問題点と、「バルサらしい」負け方とはどういうものかを解説していきたいと思う。
浮き彫りになった問題点
この試合に おいて、私が一番気になった問題点は、「監督」だ。
まず、召集メンバー。リキプッチを遠征メンバーに呼んでいたにもかかわらず、ベンチメンバーには入れなかった。
ベンチメンバーの顔ぶれを見ると、 SBが二人いる。セメドにおいては、両SBできるのだから、フィルポはベンチメンバーに入れる必要がなかったのではないかと思う。
その代わりに薄い中盤に、リキプッチを入れるべきだった。
というかそもそもアレニャをレンタルで放出する意味もわからないけど。
そして次が、交代のタイミング、替える選手が悪いということ。
バルベルデはこの試合、後半30分を過ぎるまで選手を誰一人交代させなかった。
一方アトレティコは、すでに3人の交代を終えていて、現状を打開しようという気持ちが見られた。
確かに、バルベルデの気持ちはわからなくもない。
ベンチメンバーに流れを変えられそうな選手はラキティッチしかいない。
アンス、ペレスはカンテラーノ出身で技術的にはとても優れているが、どちらかといえば経験を積ませたいし、まだ荷が重過ぎる。
デンベレもアルトゥールも怪我で離脱している。
選手を変えるとしたら、ラキティッチしかいなかったと思う。
-
なぜブスケツに替える?
バルベルデは2-2で迎えた後半30分過ぎ、1枚目の交代カードを切る。
ラキティッチだった。
しかし問題は替える選手だ。私はてっきりビダルと交代するのかと思っていた。
ビダルは足も止まりかかっていたし、イエローを一枚もらっていた。
ここでフレッシュなラキティッチを入れて、攻撃を活性化させるのかと思っていた。
しかし、選択したのはブスケツだった。
本当に意味がわからない。笑
明らかにブスケツは中盤で効いていた。ネガトラもそうだし、何よりいいときのブスケツだった。
後半30分まで主力を引っ張っといて、ブスケツを休ませようとしたなんて言い訳はきかない。
私にはまったく理解の出来ない選手交代だった。
そのラキティッチの不用意なポジショニングから3失点目を喫する。
ラキティッチもファーストプレーだったし、ある程度はしょうがないにしても、このバルベルデの采配には納得がいっていない。
-
なぜアンス?
1点ビハインドのバルサは2枚目の交代カードを切る。アンスだった。
誰と替えるかと思えば、デヨングだった。
小学生でも考えそうな間延びしまくった4-2-4。
いや、ビダルとピケもパワープレーで前線に上がっていたので極端に言えば3-1-6状態。
あの時間帯でパワープレーを選択するのは間違ってはいないと思うが、アンスはなんのために入れたのか。
アトレティコのドン引き状態のシステムに、アンスを入れて何がしたかったのか。
どちらかというと、スペースがあったほうが活きる選手だし、サイドに張り付いて足元で受けてもドリブルをしかけない限り何も怖くない。
パワープレーで割り切っているなら、思い切ってラングレを入れて高さで勝負してもよかったんじゃないかと思う。
ビハインドで時間内からFWを増やす。こんなのは誰にでもできること。
今回の二人の選手交代に、全く意図が見えなかったことが、最大の問題点だろう。
久々にみた「バルサらしい」負け
負けていい試合なんかないし、悔しい。
ただ私は、この負けはとてもポジティブなものだし、次につながる負けだと思っている。
まずはこのスタッツを見てほしい。
バルベルデバルサはスタッツ、ポゼッションで負けることもしばしば。
しかしこの画像だけでも分かるとおり、支配率は73%。シュートも16本打ち、パス本数もすばらしい数字だ。
アトレティコは守備から作っていくチームで、尚且つきっちりした4-4-2のシステムを敷く。
守備のおきてもきっちり決まっている。
それが逆にバルサはやりやすいのだ。
ギャップにどんどん選手が入っていき、メッシが前向きでボールを持ったときがチャンスになっていた。
逆にこの数字を残せて、負けるのはきっとバルセロナくらいだろう。
そして私が一番ここ最近で良かったと思ったのが、全体的なネガトラの速さ。
要は攻守の切り替えだ。
特に中盤の3人のネガトラがすばらしかった。
ボールを失ってもブスケツがコースを切り遅らせ、ビダルとデヨングでサンドしてボールをからめとる。もちろんグリーズマンがボール奪取するシーンも目立った。
いいときのバルサは、この「ネガトラ」が速い。
このネガトラがはまっているときは支配率も高くなって、より高い位置でボールを奪えるため、チャンスも増える。
良いときのバルサがするお決まりの失点パターン
さっきも述べたとおり、良いときのバルサは「ネガトラ」が速い。
しかしよければいいほど、あるお決まりのパターンで失点することが多い。
それが、「ネガトラで人数をかけたが取りきれず、一気にカウンターを受けるシーン」だ。
ネガトラにはデメリットもある。
それは、人数をかけたのにもかかわらず、そのプレスをかいくぐられると一気にカウンターを受けるということだ。
いくらバルサのネガトラが速いといっても、毎回はまる訳でもない。
ペップバルサのときもしばしばあった。
これがお決まりのバルサの失点パターンだ。
今回は私が数える限り、4回くらいしかなかった。
しかしそのうちの3点が失点につながってしまった。
これは問題だ。
ネガトラでプレスがはまりきらないのはしょうがないとして、なんとかしてこの失点をせめて1にしてほしいところだ。
まとめ
バルベルデバルサにしては久しぶりに見た「バルサらしい」負け方。美しく散る。という言い方も出来る。(3失点は決して美しいとはいえないが。)
もちろん勝ってほしかったし、正直とても悔しいが、幸いなことにCLではなかった。
内容だけでいえば、今シーズンで一番よかったかもしれない。そのくらいの内容だった。
だからこそ勝ってクラシコが見たかったが、次につながる負けが出来たということでポジティブにとらえたいと思う。